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haruka nakamuraインタビュー:Moon Stageで届ける3人の循環

土曜のメインエリア終了後に始まるキャンパー限定のMoon Stage。2018年にこのステージへ出演し、数々のキャンパーを心地よい眠りに誘ったharuka nakamuraさんが、今年再びMoon Stageに帰ってきます。

 

 

今年のブッキングについて、担当スタッフから「お客さんに対して、恩返し的な思いが強い」という話を聞いていました。開催を待ち望んでくれたみなさんに、メッセージが伝わるようなステージを作りたい。そんな想いの中でMoon Stageは、唯一無二のサウンドで幻想的な世界を作り出し、歴史に残るパフォーマンスを見せてくれたharuka nakamuraさんのステージを再び届けたいという想いでオファーをしたのだと言います。

それを受け、今年はorbe(田辺玄+ haruka nakamura)× Meadowとして出演してくださるharuka nakamuraさんに、前回ITADAKIに出演していただいた際のエピソードや今回出演する編成、当日のステージについて、お話を伺いました。

 

 

ITADAKIは1番気持ちのいいフェス

前回は2018年に同じMoon Stageに出演していただいたんですよね。今回出演のオファーがあったときの率直な感想を聞かせてください。

実は開催されなかった2020年にもオファーを頂いていたんですよね。そうやって、何度もお誘い頂けて本当に嬉しいです。僕、あまりフェスでライブをすることはなくて、普段は教会とか静かな室内でライブをやることが多いんです。フェスに行くのは好きですけどね。

フェスへの出演は、Nujabesが亡くなった時に彼が出演する予定だったフェスにトリビュートライブという形で出た思い出が強く残っていて、メタモルフォーゼというフェスではクラムボン、Shing02と一緒に出させてもらったりしていました。

 

では2018年に初めて参加されて、ITADAKIにどんな印象を持ちましたか?

それからもいくつかフェスには出演したんですけど、ITADAKIはこれまで出演した中で1番気持ちのいいフェスでした。子供がたくさんいてハッピーな雰囲気だし、みんなキャンプして気持ちよく音楽を聴ける空間だと思います。

あと、僕の好きなアーティストばかり出てるんです。前に出演した時はクリス・デイヴの出演が決まっていて、彼を生で見れるならどこへでも行くぞってくらい好きだったので、出演のオファーを頂いた時は本当に嬉しかったです(笑)。

それで実際にITADAKIに行ってみたらすごく気持ちよくて、普通にお客さんとして楽しめたんですよ。出演のオファーじゃなくても行きたいなって思えるフェスでした。昔、江ノ島でやってるFreedom Sunsetっていうイベントに毎年出演していたんですけど、湘南の海を見渡す江ノ島展望灯台が会場ですごく気持ちのいいイベントで、ITADAKIはそれ以来の気持ちのいいフェスでしたね。

 

そう言っていただけて光栄です。前回出演した際もMoon Stageに出演していただきましたが、こちらはメインステージで1日盛り上がった興奮をゆっくり沈めて、次の日を気持ちよく迎えてもらうというコンセプトのステージになりますが、harukaさん自身はどんなイメージで演奏されていたのでしょうか?

「眠らせてください」って言われていたので、アンビエントでいこうと思っていたんです。セッションっぽい感じをイメージして、そのための楽器を持っていって、長い1曲を作っていきました。ブレイクビーツも入れたり、ジェイムス・ブレイクみたいに自分の声をエフェクターで変えたり、いろんなことをやったんですけど、あの曲はITADAKIでしかやっていなくて。そもそも普段のライブはアンサンブルやバンド編成なので、ソロでやることがないんですよ。だから、あのセット自体が後にも先にもITADAKIだけなんです。

 

 

“今の歌”を届けたい

今回はorbe(田辺玄+ haruka nakamura)× Meadowという編成での出演ということで、まずorbeというユニットはどんな経緯で始まったのでしょうか?

一緒にやっている田辺玄はエンジニアでもあって、僕の曲はいつも彼の山梨のスタジオで録音しています。

彼は元々Water Water Camelというバンドをやっていて、対バンをきっかけに知り合ったんですけど、僕はその時エンジニアを探していたんです。いいエンジニアさんはいっぱいいるんですけど、自分の作りたい音と同じような理想の音を描いてくれる人って探してもパッと出会えるものじゃないんですよね。巡り合わせだから。

でも、玄から「録音もやってる」って聞いて実際にお願いしてみたら、僕が作りたい音を作ってくれる人だって分かって。それからこの5年くらいは、ほとんど全ての曲をお願いしてます。

アルバムだけじゃなく、映画やCMなどの映像系の音楽も全部彼のスタジオで録っているので、ずっと一緒に音を作ってきたんです。その中で、一緒にセッションしたりしていると、「この人エンジニアだけじゃなくて、音楽的な感覚もすごく合うんじゃないか?」って思い始めて。そこから自然とユニットとしてスタートしました。

 

そのユニットにMeadowさんが加われたのはいつ頃ですか?

maika(Meadow)とはbaobabとして10年くらい一緒にやっていて、バンドに入ってもらったり、コラボしたりしていました。でもコロナ禍に入った頃、彼女がソロで作っていた曲を出したいと言うことで聴かせてもらったらすごく面白い音楽だったので、僕と玄でサポートしながらアルバムを作ることになったんです。

なので、コロナ禍は玄とmaikaの3人でずっと一緒に仕事をしていました。次第に3人のアンサンブルも高まってきて、去年はNujabesのトリビュートアルバムを作ったんです。そして今年はorbeとMeadowのアルバムが出ますが、どれも3人で全部作っているんですよ。

だから、この3人での編成が今のプロジェクトになりますね。僕にとっては一番ミニマムな形で、3人でしっかりライブもできるし、アルバムも作れる。それで今年5月から1年かけたツアーが始まって、その流れの中でITADAKIからオファーいただけたので、この形のまま持っていくのがベストかなと思ってこの仲間で出ることにしました。

2人とだと、orbeとMeadowの曲はもちろん、Nujabesの曲もソロの曲も全部できるんですよ。内容をフレキシブルに変えられるし、セッションもできるからいろんなリクエストに答えることができる。しばらくは基本的にこの3人の編成でやっていきたいです。

 

ちなみに、orbeというユニットの名前の由来は?

山梨にBEAU PAYSAGEという、すごく美味しいナチュールワインの作り手さんがいるんですけど、そこのオーナーの岡本さんの家でワインを飲んでいた時に“循環”の話になって。

岡本さんはいいワインを作るために、いい雨を降らせたいと思っていると言っていました。いいワインを作るためにはいい葡萄が必要で、葡萄は土からできている。いい土壌を作るためにはいい雨が降らないといけない。ということは、いいワインを作るためには、環境のことを考えないといけないんですね。

そんな循環をずっと考えて作っているという話を聞いた時に、僕らはミュージシャンとエンジニアの循環で音楽を作ってきてて、今度は2人の音楽性を循環させている。僕らは即興でセッションして作っていくスタイルなんです。そういう意味でも、2人で音楽の輪を作って行けたらいいなと思って「orbe=円」というところから名付けました。

今はそこへmaikaが加わって、3人の循環でやってる感じですね。

 

では、その3人で今年のITADAKIはどんなステージを作っていこうと思っていますか?

前回は初めてだったから会場の様子が想像できてなかったんですよ。もうみんな寝ていて、テントから顔を出しながら聴いているのかな?って思っていたんですけど、みんなしっかり集まって聴いてくれていたので、眠らせるっていうよりは夜にキャンプファイヤーしながら、ちょっと歌でも歌っているようなイメージのが近いかもなって思ったんです。

だから今回は子守唄じゃないですけど、アコースティックな音楽を届けたいなと思ってます。歌物もやりますし、maikaはフィドルを弾いたり、玄もフルートやエレキギターを鳴らしたり、楽器もそれぞれ持ち替えていろんな種類の音楽ができればなと。

アルバムも出たばかりなので、新しい曲もやる予定です。ずっとライブもできていなかったので、再出発した“今の歌”を届けられたらいいなって思います。

 

▲頂 -ITADAKI- 2018 Moon Stage

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