「頂-ITADAKI-」には2010年以来の出演となるShing02。
正直なところ、私は彼の熱心な聴き手とはいえないかもしれません。でも、彼が「ヒップホップ」というくくりだけで語ることが不可能な偉大なミュージシャンであることは知っています。
手元に2枚のCDがあります。
1999年に発表された「緑黄色人種」は日本のヒップホップシーンに燦然と輝く名盤であり、問題作。スクラッチから尺八の一本吹きまで、古今東西のさまざまな音が詰まったトラックのユニークさもさることながら、「星の王子様」に代表されるラップというよりはポエトリーリーディングと言うにふさわしい歌声が、聴き手を心地よい「混乱」に導きます。
ことし1月にリリースされたCRADELE PRCHESTRAこと瀬戸智樹とのコラボレーションアルバム「ZONE OF ZEN」では、また別の顔を見せています。流麗なピアノを中心にした生楽器をバックに、静かで穏やかな英語ラップが全編を貫きます。
私にとって、心に安らぎをもたらしてくれる大切な1枚です。
音楽家としての振れ幅の広さは、この2枚を聴くだけでも明らかでしょう。動と静を制御する知性こそ、彼の真骨頂。昨年フリーダウンロードで話題になった「日本国憲法」は、彼のアートへの向き合い方を、的確に伝えてくれます。
今回のステージは「Shing02 with Live Band」名義。どんな編成になるのか、個人的には情報を手にしていません。
出演は4日の午後2時5分から。気温も会場の熱も、最高潮に達する時間帯。
どんなパフォーマンスを見せてくれるのでしょうか。
*written by るつみ・めづしは