ことしの「頂-ITADAKI-」で一番チャレンジングなことをやろうとしているのがGotchこと後藤正文さんではないでしょうか。ASIAN KUNG‐FU GENERATIONとソロ。同じフェスに両方の名義で出演するのって、相当勇気のいることだと思います。
これは「地元凱旋」以上に大きな要素です。
日本のギターロックバンドの一つの「ひな形」的存在でもあるアジカンは4日の午後6時に出演。翌日の正午前にはGotch。
フェスという特性から、かなりの数の観客が時を置かずして両方のステージを見ることになると思います。
どうしたって比べられます。後藤さんの覚悟はいかばかりか。たぶん、どっちにも相当な自信があるのでしょう。そうじゃなければ、こんなことやらない。「頂」は彼のキャリアの(何度目かの)ピークを見届ける場になるのでしょう。
PixiesとFrankBlackが同じフェスに出ることはないでしょうし、WEEZERとスコット&リバースもしかり。それが普通なんです。かつて、桑田佳祐さんがKUWATA BANDとサザン・オールスターズを率いて続けてステージに立ったことがありましたが、のちに「しんどかった」というようなことをおっしゃっていました。
ドライブ感満載のギターサウンドのアジカンに対して、2、4小節のフレーズをループさせストレンジなハーモニーを生み出す楽曲が多いGotch。音の手触りはまったく違いますし、歌詞が描く世界観はそれぞれが独立しています。
聴く側にしてみれば、後藤正文というアーティストのA面B面を、ほとんどインターバルなく見られるという、めったにない機会です。
Gotchの2作目が間もなく発表されますが、MVが公開されている「Good New Times」を聴いてびっくり。モータウンビートに言葉をありったけ詰め込んだ、解放的なメロディーラインが満載です。これ、きっと演奏するんだろうな。楽しみだな。
「頂-ITADAKI-」は後藤さんの過去、現在、未来を見届ける2日間になりそうです。
*written by るつみ・めづしは