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Predawn

Predawn

 フェスというのは、特別な演奏が聞ける祝祭空間であるのと同時に、新しい音楽との出会いの場でもあると思ってます。通りすがりに聞こえた音楽に、一瞬耳を奪われてすっかり好きになる。そんなこと、よくありますよね。

 女性シンガー・ソングライター清水美和子のソロプロジェクトPredawn(プリドーン)ともそんな出会い方でした。2014年の「頂」、午後11時過ぎのキャンプサイト限定ムーンステージ。このフェスで一番深い時間に、アコースティックギター1本抱えて現れたPredawnの演奏は、真っ暗闇の客席をほんのりとした光で包み込むような、それはそれは温かいものでした。

 キャロル・キング、The Sundaysのハリエット、ジュリアナ・ハットフィールドを足して3で割らないような歌声。英トラッド、フォーク、1960年代米ポップスなどをベースに、USオルタナの隠し味を効かせたメロディー。「こんな人いるんだ」という驚きを抱えたまま、あっという間に本編が終了したことを覚えています。

 彼女の美点は、なんといっても自然体の歌声。自分の歌声が一番魅力的に聞こえるメロディーラインをよく知ってます。
ときどき「電話帳を読んでもかっこいい(心地良い)声」というたとえ話で紹介される人がいますね。例えばマーク・ボランとか。Predawnはそういうのとは、ちょっと違うんです。
とにかく、声とメロディーの表裏一体感がすごい。厚紙を貼り合わせて、0・01ミリもはみ出しがないような、精緻で繊細な組み合わせ。これ、才能がないとできませんよ。

 「頂-ITADAKI-2017」では日曜日4日の朝イチ、「モーニングセット」に出演。土曜日にキャンプエリアで飲みまくった人、遠方から長距離ドライブで会場に到着した人。どこかせわしない会場の中、Predawn(夜明け前)が夜明け後の爽快な風に乗せてどんな演奏を届けてくれるのか。そのシチュエーションの妙も含めて、いまから楽しみです。


関連動画

Predawn / Universal Mind [MV]

Predawn – Live at Nui. / MILKYMEE JAPAN TOUR 2014

Written by

橋爪 充(頂LOVER / 静岡新聞社・静岡放送 東部総局 編集部記者)

橋爪 充(頂LOVER / 静岡新聞社・静岡放送 東部総局 編集部記者)

故郷静岡市に移住直後の2009年、第2回に観客として初参加。2010年から2014年まで文化生活部記者としてアーティストや関係者のインタビュー、開催レポートなどを担当。

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