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DUBSENSEMANIA

DUBSENSEMANIA

 今年の頂で、いや頂というひとつのフェスだけではなく、すべての春フェスにおいて、もっとも予想していなかったニュースが、DUBSENSEMANIAの復活だった。「絶対」という言葉は使いたくはないのだけど、復活することはほぼないと思っていた。なぜそう考えていたのかは、自分では不明だ。

 1999年にRAS TAKASHIがニューヨークから帰国したことで結成されたDUBSENSEMANIA。優しいメロディと強烈なリズム。それをダブで再構築する。発表する作品のミックスをデニス・ボーヴェルやマッド・プロフェッサーが手がけるなど、2000年代にあって、DUBSENSEMANIAは世界基準でレゲエの先端を開拓していたように思う。ロンドンかニューヨークのジャマイカタウンから輸入されたような感性が聞こえてきていた。

 2007年に活動を休止。そして2011年の東日本大震災によって、メンバーは沖縄などに移住した。DUBSENSEMANIAとしての活動は二度とないと勝手に思っていた。

 7人のメンバーが10年の間にどんな活動をしていたのか、ほとんど知らない。本格的に音楽活動をしていなかったメンバーもいたはずだ。去年の夏にRAS TAKASHIが久しぶりにソロを発表した。そのことが再結成のひとつのきっかけになったのかもしれない。DUBSENSEMANIAによって、ダブという音楽が再び注目を集めないかと期待している。ダブが持つ精神性とレゲエが持つ肉体性をDUBSENSEMANIAというエッセンスによって融合させる。それも今の時代の感覚を込めて。そこには音楽だけには止まらないカルチャー、ライフスタイルさえ含まれている。そんな音を野外で聞かせてくれたら、気持ちいい時間になるに決まっている。DUBSENSEMANIAがどうフェスで響くのか。興味が尽きない。


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Written by

菊地 崇

菊地 崇

60年代のカウンター・カルチャーのビジョンを、今の日本に繋ごうとしている編集者。著書にPHISHを追いかけた『「自由」って何だ?』。フリーペーパー『DEAL』を2016年12月20日に創刊。「フェスおじさん」とニックネームも定着している。

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